インビザラインが痛いと感じたら?その原因と痛み対策
歯列矯正を考えていても、「矯正中の痛みが怖い」「日常生活に影響があるような痛みは困る」と思う人は多いのではないでしょうか。そのような場合はインビザラインがおすすめです。
インビザラインは透明のマウスピースを使った歯列矯正で、矯正の中では痛みが少ない部類に入ります。痛みが出たとしても対処しやすい特徴もあり、痛いという噂を聞いて躊躇している人も続けやすいでしょう。
この記事では、インビザラインの痛みや痛みを感じる場合の原因、対象法などについて詳しく解説します。
インビザラインは痛みが少ない歯列矯正
インビザラインは痛みが少ない歯列矯正方法です。とはいえ、まったく痛みを感じないわけではないため、痛みが気になる人にとっては知っておきたい要素になるでしょう。
ここではどのような痛みか、痛みのピークはいつなのか、痛みの度合いなどについて紹介します。
どんな痛みを感じやすい?
インビザラインに限らず、どのような方法の歯列矯正でも歯が動くため、必ず痛みをともないます。インビザラインも例外ではなく、歯が動く時に生じる圧力や違和感を痛みとして感じるでしょう。
残念ながら痛みを完全にゼロにすることはできません。歯が動く時に痛むことは身体の仕組みとして避けられないためです。
ただ、歯列矯正方法の選択によってはその痛みを軽減させられます。インビザラインは歯列矯正の痛み軽減に優れた方法であり、痛みに敏感な患者様や気になる患者様にとってベストに近い選択肢になるでしょう。
痛みのピークはいつ頃?
インビザラインをスタートしてもっとも強い痛みを感じるタイミングは、一般的に「マウスピースを初めて装着した頃」が多い傾向があります。
装着したばかりの頃はマウスピースの装用感に慣れていないことや、インビザラインの治療傾向として初期に大きく歯を動かすことなどが原因です。
人によっては「こんなに痛いなんて……」と驚くかもしれませんが、約3日~1週間ほどで痛みが薄れたり感じなくなったりするケースがほとんどです。
ひどい痛みになることはない
前述の通り、インビザラインはマウスピースを装着したばかりの頃は痛みを感じるものの、ほとんどの場合は時間が経てば解消されていきます。
「痛すぎて夜も眠れない」「マウスピースを装着し続けることが苦痛なほど痛い」というひどい痛みにはならないため、安心してインビザラインにトライしてみてください。
とはいえ、マウスピースによる痛みだと思っていたらむし歯や歯ぐきのトラブルだったという可能性もあります。
その場合、痛みを放置すると悪化する可能性もあるため、気になった際は歯科医師にすぐ相談して適切な治療を受けましょう。
ワイヤー矯正とどちらが痛い?
インビザライン以外の歯列矯正ではワイヤー矯正がよく知られています。
ワイヤー矯正の場合、インビザラインよりも痛みを強く感じます。
歯を動かすため約1か月ごとにワイヤーを調節し、そのワイヤーを装着すると強い圧力が歯にかかります。
1か月で一気に動かせる分の圧力をかけるため、10日~2週間でマウスピースのサイズを交換するインビザラインに比べると圧力が集中し、強い痛みを感じてしまうのです。
ワイヤー矯正もインビザラインに劣らない優れた歯列矯正方法ですが、「痛み」にフォーカスした場合、「インビザラインのほうが痛くない」という結論になります。
痛みを感じる原因は?
インビザラインで痛みを感じる際、どのような原因があるのでしょうか。
ここでは痛みを感じる代表的な原因について紹介します。
治療効果で歯が動いている
前述の通り、歯が動く時には身体の仕組みとして必ず痛みが生じます。この痛みだけはどうしても取り除くことができません。
この痛みは多くの人にとっては耐えがたい激痛というほどにならないため、「歯が動いているから痛いのだな」という理解があれば安心できるでしょう。
とはいえ、痛みの感じ方には個人差があります。どうしても我慢できそうもないと感じたら、治療計画をストレスなく進めるためにも歯科医師に相談してみてください。
マウスピースの着脱時に当たる
インビザラインは、マウスピースの矯正力のサポート目的で歯にアタッチメントを装着します。マウスピースは着脱できますが、このアタッチメントは外せません。
「マウスピースの装着中は痛みを感じないが、着脱する時に痛い」という人は、アタッチメントが引っかかることで痛みが生じている可能性があります。
アタッチメントは一度設置するとインビザラインの治療が完了するまで取り外すことはありません。着脱のたびに気になるのであれば、着脱用スプーンを使うなどの対策をおすすめします。
マウスピースが歯ぐき・舌・頬などに当たる
インビザラインのマウスピースは高度な3D技術を用い、患者様個人の口腔環境に合うように緻密な作りになっているため、基本的に歯ぐきや舌、頬などにダメージを与えにくくなっています。
しかし、時として研磨不足のマウスピースが混ざり、想定外の小さな突起などが痛みの原因になる可能性があります。
放置しておくと口腔内に傷がついたり痛みが長引いたりすることがあるため、歯科医師に相談し、突起を削ったり調整したりなどの対策を行いましょう。
新しいマウスピースに交換した直後
インビザラインは約10日~2週間を目安に新しいマウスピースへ交換します。
今まで使っていたものよりもさらに広く歯を動かすように作られているため、装着した直後に圧迫感や痛み、違和感が生じることは多いですが、その痛みも新しいマウスピースに慣れれば落ち着きます。
どうしても痛みに慣れない場合にはひとつ前のマウスピースに戻したり、歯科医師に相談したりするなどの対策を考えてみてください。
顎間ゴムの使用
インビザラインの治療計画によっては、マウスピースと顎間(がっかん)ゴムを併用することがあります。
顎間ゴムとは治療用に開発された小さな輪ゴムで、身体に悪影響はなく、「エラスティックゴム」とも呼ばれます。
顎間ゴムの併用は、マウスピースだけの矯正よりも早く歯を動かせるメリットがありますが、矯正力が強くなるため、痛みがその分強くなる人もいるようです。
顎間ゴムによる痛みも数日で軽減されますが、痛みや違和感があまりにも強く、日常生活に支障をきたす場合には歯科医師に相談しましょう。
しばらくマウスピースを装着していなかった
何らかの事情でマウスピースを装着しない期間が長く続いた場合、改めて新しいマウスピースを装着した時に痛みを感じるケースもあります。
マウスピースを装着しない期間が長くなると、それまで移動していた歯が元に戻ってしまい、マウスピースの形状と合わなくなって痛みが生じます。
矯正中の歯は思った以上に不安定で、矯正力がなくなればすぐに元に戻ろうとします。矯正が完了するまではマウスピースの装用時間を守り、歯の位置が戻らないように気をつけましょう。
インビザライン以外が原因のことも
インビザラインで歯列矯正をしている間に痛みを感じても、インビザラインそのものが原因ではない可能性もあります。ここでは考えられるインビザライン以外の原因を紹介します。
口の中に傷ができている
食事中にうっかり舌や頬を噛んでできた傷や、熱い飲食物による火傷などで口の中が痛み、インビザラインによる痛みではないかと感じる可能性があります。
このような傷は時間が経てば治り、痛みも解消されますが、傷の位置がマウスピースの部品と接触する場合は、刺激を感じたり治りが遅くなったりするかもしれません。
「マウスピースをつけ続けるのがつらいな」と感じたら、傷が治るまでどのように対処するかを歯科医師に相談してみてください。
むし歯や歯周病など口腔トラブル
むし歯や歯周病のような口腔トラブルは、初期ではあまり痛みを感じませんが、進行すると痛みや不快感が強くなります。
インビザラインはマウスピースを取り外して歯磨きやフロスなどができるため、むし歯や歯周病を予防しやすい矯正方法です。
しかしケアが足りていなければ、やはりむし歯や歯周病のリスクが高くなるでしょう。日頃の歯磨きやフロスに加え、歯科医院での定期検診を受けながらの念入りなケアをおすすめします。
インビザライン中の痛みの対処法
インビザライン中の痛みは数日で慣れるものですが、痛みを我慢したくなかったり、もっと痛みを軽減させたいと考えたりすることもあるでしょう。
ここではインビザライン中の痛みの対処法を紹介します。
歯に刺激が少ない食事を選ぶ
インビザラインはマウスピースを外して食事をするため、装置に関わる痛みや不快感が生じにくくなっています。
しかし、硬いもの(根菜類やリンゴ、米菓など)を噛むと、歯ぐきに微妙な痛みを感じることがあります。
これは歯の矯正中、周囲の歯根膜が過敏になるためです。インビザラインそのものが原因ではありませんが、矯正中の現象のひとつとして理解して心配しすぎないようにしましょう。
食事中の痛みを和らげたい時には、柔らかい食べ物を選んだり、食べやすい大きさに切るなどのひと手間で対策してみてください。
矯正でも使えるワックスでカバーする
アタッチメントが当たり、口の中に痛みを感じる場合には、矯正用ワックスで対処する方法があります。
ワックスというと工作用や掃除用のものを思い出し、不安になるかもしれませんが、歯科医院で使われているワックスは無害な成分で作られているため安心です。
アタッチメントが原因の痛みは、口腔内に傷を付け、口内炎などのトラブルを招く可能性があります。
「アタッチメントが当たっているだけだし、これくらいの痛みなら我慢しなくちゃ」と考えず、歯科医師にワックスの利用を相談してみてください。
鎮痛剤を飲む
インビザラインは痛みが少ないといっても、痛みの感じ方は人それぞれです。
人によっては「我慢できない」と感じてもおかしくはありません。また、体調によっては普段よりも痛みに敏感になることもあります。
強い痛みは日常生活の妨げになりますが、自分で対策するのも限界があるため、無理をせず、鎮痛剤も上手に使って歯列矯正を進めましょう。
マウスピースの調整をする
新しいマウスピースを装着した時に強い痛みがあり、我慢できないと感じるのであれば、そのマウスピースが使えるほど歯が移動していない可能性があります。
あまりにも痛みが強い場合には、ひとつ前のマウスピースに戻すことを検討しましょう。
ひとつ前のマウスピースで数日過ごし、改めて新しいマウスピースを装着したら痛みが軽減することもあります。
自分での判断が難しければ歯科医師に相談してみてください。念のため、マウスピースを替える時にはひとつ前のマウスピースを保管しておくと安心です。
長時間外さないようにする
インビザラインはマウスピースの装着時間が長いことが特徴のひとつです。順調に歯列矯正を進めたければ時間を守る必要があります。
長時間外していると動いた歯が戻ってしまい、改めてマウスピースを装着した時に痛みが生じかねません。場合によっては矯正効果も薄れてしまい、今までの努力が水の泡になってしまいます。
痛みを抑えながら美しい歯を手に入れるために、やむを得ない場合以外は時間を守って装着しましょう。
歯科で相談する
どうしても痛みが治まらない場合には歯科医院に相談しましょう。痛みの原因の究明や対処法を教えてくれます。鎮痛剤が必要なら処方を依頼するのもおすすめです。
また、あまりないことですが、経験の浅い歯科医師が治療計画の速度や対処法を勘違いしている可能性もあります。その際には治療計画の見直しをすることも必要な選択肢です。
まとめ
痛みが少ないインビザラインでも、歯が動くタイミングやマウスピースやアタッチメントの付け方、口腔内の状態などによっては痛みを感じるケースがあります。
基本的に耐えられないほどのひどい痛みになることはありませんが、気になったりストレスを感じたりするほど痛い場合には、早めに歯科医院で相談してみてください。
診察や検査のあと、適切な対処法が提案されるはずです。
山崎デンタルクリニックでは、インビザライン中に歯周病管理やむし歯チェックを取り入れ、健康な状態で歯列矯正を進められるように取り組んでいます。
矯正中に生じる痛みへの対処についてもお気軽にご相談ください。