マウスピース矯正で出っ歯は治る？治療期間や費用の目安も紹介

出っ歯をマウスピース矯正で治す方は近年増えており、受診する前に知りたいのが、矯正にかかる期間やマウスピースで治せないケースではないでしょうか。

本記事では、出っ歯はマウスピース矯正で治るのか、治療にかかる期間をご紹介しています。

マウスピース矯正で出っ歯を治したい方や治療期間を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

出っ歯とはどのような状態か？
出っ歯とは、上のあご（顎）や前歯が、通常の形状よりも前に出過ぎた歯並びになっている状態です。

正常な歯並びの場合も下よりも上の前歯は前に出ていますが、出っ歯は口を閉じたときに上唇の裏側に前歯がくっついてしまうくらい前に出ています。

上の前歯は笑ったときや話すときに目立つなど、見た目を気にする方もいらっしゃいますが、日常生活で不便を感じるシーンは多くありません。

出っ歯には、上下ともに前歯が前に出ているタイプの他、奥歯のかみ合わせにズレが生じているタイプもあります。

出っ歯になる原因
出っ歯になる原因は、生まれながらの骨格やあごの形状など遺伝的要因だと考えがちです。

実際には、子どもの頃からのクセが影響している方や、成長してから出っ歯になるケースも見受けられます。

口周りのクセや生活習慣
無意識に爪や唇をかむ、子どもの指しゃぶりなど口周りのクセは、出っ歯の原因になりかねません。

赤ちゃんの頃の指しゃぶりは影響しませんが、4〜5歳になっても続いているときや爪をかむのをやめられないときは、要注意です。

前歯が上も下も前に傾いて出っ歯になってしまいます。

また、気付かないうちに下の前歯の裏側を舌で押すクセがある方が出っ歯になるのは、口呼吸が原因です。

何らかの理由で口呼吸が習慣になると、舌の定位置が上の前歯の裏側から下の前歯の裏側に変わり、収まりの悪さから歯の裏側に圧力をかけてしまいます。

鼻呼吸の方も風邪をひいたときや花粉症などで鼻がつまると口呼吸になりますが、短期間であるため影響は生じません。

この他、やわらかい食べ物を好む方は、前歯でかみ切ってすぐに飲み込む奥歯を使わない食べ方になりがちです。

前歯を舌が押し出す動きになりやすく、出っ歯になるケースもあります。

背中を丸めるなど姿勢の悪い方も前歯だけで食べる傾向があり、奥歯を支える筋肉が衰えて歯並びに乱れが生じるため注意しましょう。

大人になってから起きる歯のトラブル
歯周病の悪化によって歯がぐらついて安定を失うと歯が動くようになります。

口腔内では奥から前に向かってかみ合わせる力が働いており、前歯に向かって少しずつ全体が倒れ続ける動きが、大人になってから出っ歯になる原因です。

大人に多い就寝中の歯ぎしりは、無意識に強い圧力を長期間かけ続けるため、歯並びに悪影響をあたえます。

奥歯にかかる食いしばる力が前歯を押し出し、唇に向かって傾いた結果が出っ歯です。

歯に強い圧力がかかるのは、歯ぎしり以外に楽器演奏があります。

クラリネットの演奏を長年続けている方のなかには、若い頃より前歯が前に出てきて驚いている方もいるでしょう。

大人になってから生えてくる「親知らず」も、出っ歯を引き起こすときがあります。

親知らずが生えてくる余地があごに残っておらず、無理やり生えてきて前歯が押し出されてしまうと、出っ歯になるからです。

子どもの頃に歯並びに問題のなかった方でも、片側の歯で食べるクセのある方やかみ合わせのバランスが崩れているときは、大人になると歯並びが悪くなります。

遺伝や乳歯の脱落
遺伝が原因で出っ歯になるのは、あごの骨格が小さいときやあごの大きさに対して歯が大きい場合です。

骨格は、生活習慣や口周りのクセなど後天的な要因よりも、歯並びに影響をおよぼしています。

生まれたときの骨格が正常であっても、上下のあごの骨の成長するバランスが崩れるとかみ合わせが悪くなり、歯並びが悪くなるリスクを避けられません。

乳歯の脱落とは、虫歯や事故などでけがをしたのがきっかけになり、早期に抜けてしまう現象です。

通常、乳歯が抜けるのは永久歯が下から生えてきた「生え変わり」ですが、何らかの原因で早期に脱落すると歯や歯が生える場所が動いてしまいます。

抜けた歯のスペースに本来と異なる歯が生えるケースも多くあります。

出てくる場所が、狭くなったりなくなったりした永久歯が前に傾いて生えてしまうのが、出っ歯になる原因です。

出っ歯をそのまま放置するリスク
出っ歯を矯正せずに放置すると、口腔内にトラブルが生じるおそれがあります。

健康に過ごせなくなるリスクを回避できない場合も、知っておかなければなりません。

治療する必要性を知り、できるだけ早期に取りかりましょう。

歯周病や虫歯が発症しやすくなる
出っ歯が上唇につかえて口が閉じにくくなると、口呼吸をするようになり、口腔内が乾燥してドライマウスになります。

ドライマウスは、唾液が歯についた汚れを洗い流せなくなり、口腔内が細菌の繫殖しやすい環境になるのが問題です。

歯並びが悪いと歯磨きをしても細菌のエサになる食べ残しを取り切れず、歯周病や虫歯を発症しやすくなります。

歯周病や虫歯を治療せずに放置すると歯茎にもダメージが生じ、抜歯するケースも少なくありません。

早期に治療を開始すると歯茎へのダメージは食い止められますが、口臭が悪化する悩みを抱えるケースもあります。

口臭予防に液体のオーラルケア用品を使うと、一時的にすっきりさせます。

しかし、製品によっては口腔内を乾燥させてしまうときもあり、油断はできません。

歯周病や虫歯が原因の口臭が気になるときのオーラルケア製品選びにはご注意ください。

また、ドライマウスは、体全体の免疫力を低下させます。

細菌が口から入ってくるのを防げなくなるため、風邪などの感染症にかかるリスクも高まる点も、出っ歯を放置するリスクです。

食べ物をかみ切る力が弱まる
出っ歯を矯正しないと、前歯が担っているかみ切る役割を十分に果たせません。

奥歯でかみ砕いても細かくなっておらず、胃腸に負担がかかります。

前歯でかみ切れない食べ物を敬遠するようになり、やわらかい食べ物を好む傾向になるのが問題です。

やわらかい食べ物はかまずに飲み込んでしまうため、満腹中枢が刺激されず、食べ過ぎにつながります。

飲み込むだけではおいしいと感じる機能も働かず、何を食べても満足できません。

かむ回数が減少すると唾液の分泌量も減少し、消化酵素も減少します。

食欲がなくなり、生活全般に対してやる気を失う方も珍しくありません。

口腔内でかみ砕いていないうえに十分に消化できないため、胃腸への負担は増すばかりです。

消化するのに時間がかかり、胃もたれやお腹がスッキリしない感覚をおぼえます。

また、かまない食べ方は、口周りの筋肉を減少させるのも問題です。

言葉の発音がはっきりしなくなり、唾液が飛び散りやすくなると話すのがイヤになる方も少なくありません。

筋肉の減少により、口周りだけ老け込んだ印象になり、表情の豊かさが失われるケースもあります。

転倒した際に前歯を損傷するリスクが高まる
出っ歯の方は、転倒した際に顔面を強打すると、正常な歯並びの方より前歯が折れるリスクが高い傾向です。

前歯を損傷すると抜歯するケースも多く、見た目が悪くなります。

同時に、前歯が当たって唇を損傷する方も多く、前歯を失う以上に見た目の影響は多大です。

ケガをした部分だけをマスクで隠せるときもありますが、傷が大きいときには腫れが広範囲におよぶためマスクで隠しきれず、外出もできません。

元どおりになるまで時間がかかり、その間は食べるものにも気を使います。

刺激の強い食べ物は傷にしみるため、避けなければ痛くてたまりません。

かさぶたができると口をあけにくくなり、少しずつしか食べられなくなります。

食事をするのがイヤになる、好きな食べ物が食べられないのもがまんできませんし、言葉がはっきりしません。

友人との食事も断るようになり、楽しい時間を過ごせないのがストレスに感じてしまいます。

また、自分がケガをするだけでなく、運動中に他のプレーヤーと接触したときは相手にケガを負わせるリスクも無視できません。

笑い話では済まされず、治療費を請求されるケースもあります。

出っ歯はマウスピース矯正で治せる？
出っ歯はマウスピース矯正で治せますが、不安をおぼえるときは専門医に相談してみましょう。

マウスピース矯正は使用する器具が透明なポリウレタンでできており、目立ちにくいのが特徴です。

自分で取り外せるため、普段と同じように歯磨きやうがいで口腔内を清潔に保てます。

取り外したマウスピースのお手入れも自分でできますし、専用の洗浄剤を使うとかんたんです。

洗浄剤はさまざまなタイプをドラッグストアなどで取り扱っており、ご自身の使い方に適した製品を手軽に入手できます。

矯正中に虫歯や歯周病を発症するリスクが低く、口臭が悪化する心配もありません。

ワイヤーを使用しないため金属アレルギーになるリスクも低く、妊娠中でも治療を継続できるのもメリットです。

金属が接触して口腔内を傷つける事故もなく、通常と変わりなく過ごせるでしょう。

一般的に、マウスピースで対応できるのは軽微な出っ歯と思われがちですが、期間を短縮する技術を持つ専門医では幅広い症例に対応できます。

マウスピース矯正は、医師の作成したプログラムにしたがって、患者さんが自己管理して出っ歯を治す治療法です。

出っ歯をマウスピースで矯正できる仕組み
マウスピース矯正は、あらかじめ完成させたい歯並びを設定し、複数の異なる形状のマウスピースでコントロールしながら歯を動かす治療法です。

出っ歯になっている前歯といっしょに奥歯も動かせるため、かみ合わせも治せます。

あごの骨格よりも歯が大きい方が多い出っ歯では、動かせる場所を確保する目的で、奥歯を抜くか歯を削るのが一般的です。

奥歯を抜歯すると、かんたんに歯を動かせるスペースを確保できますが、食べ物をすりつぶす能力が低下します。

胃腸への負担が増してしまいますし、発音にも影響が生じるのは避けられません。

一方、歯を削る治療法は抜歯するよりも時間はかかりますが、健康な歯を守ります。

消化・吸収をサポートする奥歯を保護してかみ合わせを矯正すると、目の疲れや肩こり、腰や首の痛みを軽減する効果も期待できるでしょう。

また、マウスピース矯正をする際、歯を動かすサポートになるのが、アンカースクリュー矯正です。

ワイヤー矯正を併用すると強い力を加えられますが、見た目が悪くなりますし、金属アレルギーへの不安をぬぐいきれません。

アンカースクリュー矯正は、マウスピース矯正では動かせない方向に動かせるのが特徴です。

外科手術しか手立てがない症例にも対処できるケースが多く、患者さんの負担を軽減できます。

美しい歯並びをあきらめていた方も、健康な歯を守りながら治療できるのが、マウスピース矯正です。

出っ歯を放置するリスクを回避し、体調の悩みをやわらげる効果も期待できます。

出っ歯のマウスピース矯正にかかる期間
出っ歯の部分だけを矯正するときにかかる期間は、数ヵ月～1年、全体を矯正するケースでは、6ヵ月～3年くらいが目安です。

個々の症例により、矯正する範囲や度合いも異なるため、あくまでも参考にしてください。

マウスピース矯正は、カウンセリングから始まるのが一般的です。

問診に続いて歯の状況を確認し、治療方針の説明と想定できる範囲での治療期間やかかる費用の説明を受けます。

このとき、気になる点を遠慮なく質問してみましょう。

説明に納得したら歯型の採取をおこないますが、マウスピース矯正では、3Dスキャナーを使った画像撮影が主流になっています。

3Dスキャナーを使うメリットは、撮影した画像をもとに治療計画の説明ができる点です。

作成したシミュレーション画像を使って、医師と患者さんで治療の方向性を確認できます。

そのあと、完成したマウスピースが到着してから、本格的な治療が始まる段階で、装着方法の説明を実施するのが通例です。

症例に応じて歯を削る処置をおこない、1～2ヵ月を目途に定期的なチェックをおこないます。

定期的なチェックでは、想定したプログラムどおりになっているか、歯周病などのトラブルが発生していないかの確認がメインです。

当初の想定した歯並びになったあとは、保定期間になります。

保定期間とは、元の位置に戻ろうとする歯を定着させる期間であり、治療にかかる期間と同じくらいになると想定しておいてください。

マウスピースの装着時間を短縮してようすを確認しながら、3～6ヵ月に1回の割合でチェックを継続します。

マウスピース矯正の出っ歯治療にかかる費用
出っ歯をマウスピース矯正する際の費用は、カウンセリングを含む診断と治療、アンカースクリュー矯正を含めた115万～170万円が目安になります。

個々の症例によっても異なる点にご留意ください。

クリニックによっては、新しいタイプのマウスピースを利用する場合や治療期間を短縮するサポート装置を進めるケースもあります。

費用は上乗せになりますが、利用すると費用以上のメリットを実感できるでしょう。

初期費用に加え、チェックのための2ヵ月に1回の調整費用が4千〜5千円です。

保定期間も含めると数年間におよびますが、口腔内の状況も確認してもらえるため、完治するまで通院を続けましょう。

まとめ
出っ歯はマウスピース矯正で対応できますが、症例によっては通常よりも長期化するケースもあります。

専門医に相談する際、治療方針とともに治療にかかる期間や費用も確認しましょう。

医療法人山崎デンタルクリニックでは、マウスピース矯正の専門医がさまざまな症例に対応しますので、ぜひ相談してみてください。